大判例

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広島高等裁判所岡山支部 昭和26年(う)726号 判決

職権をもつて調査するに原審第一回公判調書中弁護人が被告人に対する「どうして盜みをする様な気持になつたのか」との問に対し、被告人は「私は以前ヒロポンを注射して居りましたのでそれが切れた為精神がぼおーとして無意識の中に盜んだのです」と答えた旨の記載がある。被告人の右供述は被告人が犯行当時心神耗弱乃至心神喪失の状態にあつたことを主張したものと認められ刑事訴訟法第三三五条第二項に所謂法律上犯罪の成立を妨げ又は刑の減軽の理由となる事実が主張されたときに該当するものといわなければならない。蓋し右の如き主張は被告人においても弁護人においても将又検察官においても公判中如何なる段階形式においても主張し得るものと解せられるからである。されば原審は須らく右主張の当否を審査し判決をもつてこれに対する判断を示さなければならないことは同法条の明定するところである。然るに原判決は右主張に対する判断を遺脱していることは判決書自体によつて明白であるから原判決は判決に理由を附せざるの違法があり破棄を免れない。

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